嘘つきな背中に噛み痕をアゲル。

どうしても腹の虫がおさまらなくて、思いっきりバイクも蹴った。

足の指が、じんじんと痛むけどバイクは倒れなくて腹立たしくて、痛みで転げまわる巴ちゃんを思い切り睨みつける。

「晴哉は死んでいても、私の旦那ですから」


誰がどう、何を言おうとそうだ。

晴哉の笑顔は、お日さまみたいで心まで温かくなったし、隣で私も気づいたらキラキラと太陽の光で満たされていた。

死んだから?
だから何?

思い出は消えない。消せないの。

何度も何度も、思い出す。

料理も作れないのは、あの時の痛みを忘れたくないから。

乗り物にも乗れないのは、あの日を忘れたくないから。



気持ちをあの日に置いてきた。
変化したくなくて、私はバタバタ暴れてもがいているの。

そうだよ。
私は、その日から動きたくなくて足掻いてるんだよ。

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