【続編】2月14日の同窓会

「うわー…」

 同窓会の前日、八年ぶりに日本の空気を吸った。

 なんともいえない緊張感が体を支配する。

 昼頃からの12時間のフライトだったが、文字盤の上では、もう翌朝になっていた。

 時差ボケがあると思ったが、飛行機で寝ていたせいか、特に体調の変化はなかった。

 久しぶりの帰省ということもあり、何もかもが新鮮に感じた。

 空港内の日本語を見るたびに、懐かしさを感じ、ひらがなの丸みに、アルファベットにはない包容力を感じた。

 ふと携帯の画面を見て、静かに閉じた。

 幹事に参加の連絡をしてからというもの、ひっきりなしにメールが届くようになった。

 高校のころの友人からなぜか小中学校の友人にまで僕のアドレスは広まり、ついでに僕が独身であることまで知れ渡った。

 アドレスはともかくとして、独身の情報の発信源を僕は殴りたい。

 おかげで届くメールの八割が昔好きだったとか、彼女はいるのとか、そういう類のものばかりだ。

 そういうところを掘り下げて何がしたいんだ。

 学生時代に自分を振った男がまだ独身であることを嘲笑っているのか。

 ああ、嘲笑うがいいさ。

 一人一人ぶん殴ってやろう。

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