緑の扉と遠い過去
緑のトンネル
長い梅雨の季節が終わり本格的な夏がやってきた。

夏休みといえばイベントが盛り沢山で心踊る時期ではあるが、ここに居る少年は何故か浮かない顔をしている。

少年の名前は“金谷 令二”。

彼にとって今年の夏は少し特別だった。

それと言うのも、今年の夏が彼にとって小学校生活で最後の夏休みだからだ。

彼が浮かない顔をする理由は二つあった。

彼の友人の多くは夏休みともなれば遊園地やリゾート施設の整った観光地へと遊びに出かけていく。

中でも彼の親友である“田中君”は念願だった夢の海外旅行に出かけることになったのだ。

それを聞いた彼は両親に海外旅行へ行くように嘆願したのだが、あえなくその願いは叶えられることはなかった。

もう一つは両親から山奥の田舎で暮らす祖父母の元へ遊びに行くという代案を立てられたことだった。
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