緑の扉と遠い過去
「おーい母さん、遊びに来たぞ」

「あれあれ、早かったねぇ。さぁ、上がった上がった」

約3年振りに会った祖母は元気にしており、通された居間で一家の到着を待っていた祖父もシワだらけの顔にさらにシワを作って出迎えてくれた。

「お~、よう来たよう来た。ほれ、立っとらんと荷物を下ろして座わりなさい」

「じいちゃん、ばあちゃん、お久しぶりです」

「お~令二、大きいなったな。前に来たときはこれくらいじゃったかな」

「うん。もう3年になるからね」

「お義父さん、育ち盛りなんで大きくなるのが早いんですよ」

「令二は来年中学生じゃったかな?」

「うん」

「そうかそうか」

上機嫌に話す祖父は大きな手で令二の頭を撫でた。

「今回は長いことこっちにいるんじゃろ?」

「あぁ、有給も合わせて取ったから10日間くらいは居るよ」

「そうかそうか。ばあさん、冷やしてあったスイカを持って来てやりなさい」

「はいはい。ちょっと待っててね」

「お義母さん手伝いますよ」
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