英雄の天意~枝葉末節の理~
*慚愧の起因
ラーファンは、立ち上がったナシェリオを見るでもなく顔を伏せる。
「──っどうして」
「前にも言ったろう。俺はこんな所でくすぶっていたくないんだ」
合わせた視線には少しの威圧が見て取れた。
ラーファンは本気だ、彼の目は一歩も譲らないという気概を放っている。
「俺は名を上げて王都の騎士になりたい」
組んだ手に力がこもる。こんな言い合いの繰り返しにはいい加減に飽き飽きしている。
「解るだろう!? ドラゴンを倒せば必ず目に留まる」
王都を守る兵士の中で上位に位置する騎士は誰からも尊敬される存在だ。
もちろんのこと、騎士になるにはそれなりの腕が必要になる。
ドラゴンを倒したという功績があれば騎士に早く近づく事が出来るだろう。