英雄の天意~枝葉末節の理~
 真実さえ解ればそれで終わりだったものが、ここ幾月かで何かを感じ取り再びナシェリオに目を向けた。

「全ては世のせいだと憎むことも出来たでしょうに、あなたは己の責だと受け入れた」

「当然だ。私は止められたはずなのだから」

 それに他者を挟む余地などあるものか。

 初めて人の声として耳にしたものに震える手を押さえて平静を装う。

 されど、それはこの期に及んで誰かに述べられたとて一顧(いっこ)するようなものではなく。

 自らの罪だと応える他はない。

「だからこそ、あなたは英雄と呼ばれるようになった」

「違う」

 そんな単純なものじゃない。
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