英雄の天意~枝葉末節の理~
「よく考えて──その力はあなただけのものじゃない」

 響く声に顔を歪ませ頭を抱える。

「いい加減にしろ」

 もう充分だろう。

 これ以上、私を振り回すな。

 求めてもいないものを与えられ、望んでもいない流れに投げ込まれる者の苦しみを誰が解ってくれるというのか。

「あなたが認めさえすれば楽になれるものでしょう?」

「──っうるさい」

 傷をえぐるような言葉は脳裏にこだまして、切っ先を床に突き立て疲れ果てたようにうなだれる。

 あの旅の全てが酷いものではなかったのは確かだ。

 しかし、あんな結末では何もかもが残酷な記憶でしかない。




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