英雄の天意~枝葉末節の理~
「ナシェリオ!」

 なんてことをするんだと目を吊り上げるラーファンを一瞥し兵士を見やる。

「ラーファン、彼らから離れて」

 その表情と声色はいつものナシェリオではなかった。

「一体どうしたんだ」

「誤解しないでくれ。我々はただ──」

「ここから北東には小さな町がある」

 それに兵士二人はぴくりと眉を寄せた。

「その町はいま、他の部族と抗争中だ」

 狩り場の独占に対する抗議がいつの間にか抗争にまで発展した。

 互いに一歩も譲らず、傭兵や渡り戦士を雇って諍(いさか)いを繰り返している。

「それがどうしたんだ」

 話が飲み込めないラーファンは小首をかしげた。
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