英雄の天意~枝葉末節の理~
*仕儀への道程-しぎへのみちのり-
目指すドラゴンは、さらに東にある洞窟にいるという。
二人は紛争中の町からはなるべく距離を取って進む事にした。
回り道にはなるけれど揉め事は避けたい。
西の大地は他の地に比べれば豊かではないが、多くを求めさえしなければ充分な暮らしを立てることが出来る。
しかし、とある一帯だけは草木はわずかで岩肌が剥き出しになっている岩山があった。
その山すそにドラゴンの棲む洞窟はあるという。
ドラゴンの姿をはっきり見た者はおらず、ただ閉じこもっているだけなのか見た者はことごとく命を奪われているのかは定かではない。
洞窟に向かう途中、相手の正体が解らない状態で挑むのは自殺行為だと何度もナシェリオは意見した。