英雄の天意~枝葉末節の理~
 ──出口を表す光が見えてラーファンはいっそう走りを速める。

 それを見たナシェリオもつまずきそうになりながら必死に足を動かした。

 ナシェリオは、洞窟から出たラーファンが遠くに見える林のある左に逃げたのを確認し真っ直ぐに走った。

 目の前は草原だが、同じ方向に逃げれば二人とも助からない。

 帰りを待つ者のいるラーファンは生き残らなければならないと意を決した。

 いよいよ出てきたドラゴンは草原に逃げていく影を捉えて翼を広げ一気に飛んだ。

 こうなってしまってはもう逃げられはしない。

 すぐさま追いつかれ風圧で倒れ込む。

 転がったところを前足で強く掴み再び空に舞い上がった。
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