英雄の天意~枝葉末節の理~
*報いの報酬
動かなくなった塊にラーファンの死を確実なものとし、ナシェリオは絶望に心が引き裂かれた。
「──っそんな」
もはや希望はことごとくかき消され抵抗する気力を無くしたナシェリオを解放したドラゴンは、がくりとうなだれる姿に視線を落とす。
[そなたを見捨てた男でも涙を流すのか]
目を眇め、さも不思議そうに覗き込んだ。
「当然だ。私がそれを選んだのだから」
彼は死ぬべきではかったと苦しみに声を震わせる。
[ふむ。面白い]
伝わる嘆きにドラゴンは感心するように低く唸った。
久方ぶりに人間を見たのだろうか、興味深げにじっくりと見回している。