英雄の天意~枝葉末節の理~
「彼女は幼少から私を少しも怖がらなかった」

「怖がる?」

「子供というものは純粋なだけに残酷だ」

 自分たちとは少しでも異なるものに恐怖する。

 北方の民は気が荒いとも伝わっていたためもあるだろう、ささいな顔立ちの違いはそれだけで異質なものと混同される。

 その感情の区別を明確に成せる子供は多くはない。

 自分でも理解出来かねる感情は不安でしかなく、その不安を与えている対象より少しでも己を優位にし、かつ安心させるために行う事は決まっていた。

 無論のこと、ラーファンやレイアのように全ての子供がナシェリオをその対象としていた訳でもない。
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