英雄の天意~枝葉末節の理~
「わたしはそれに、どうしてかと尋ねたわ」

 だって、彼がずっとそうしたかったことが出来たのですもの。

 彼の両親が村のみんなを守って死んだことで、あの人は自分もそうしなければと思っていたのではと──。

「あなたには、自分の進みたい道を歩んで欲しいと言っていたわ」

 村人たちの罪はせめて自分が背負うからと、まるで祈りにも似た言葉だった。

「彼女はあなたのことをよく見ていたのね」

 ナシェリオは今更に彼女の言動を深く思い起こす。

 あれは私への好意によるものだったのかと我ながら気付きの遅さに呆れて口角を吊り上げた。
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