英雄の天意~枝葉末節の理~
 その勢いはテーブルを大きく揺らし、そこにあった皿やコップはことごとく床に散らばる。

 この町の男たちはみな寡黙なのか、やはり無言で立ち上がり謝れと言わんばかりに突き飛ばす。

 突き飛ばした男はそれでも怒りが治まらないらしく、腹立たしさをぶちまけるように腕を大きく振った。

 その腕は近くのテーブルにある料理の入ったボウルに当たり、大きな音を立てて床に転がる。

「てめえ!」

 酒場とは、言うまでもなく酒を呑む場所だ。

 故に酒を呑んでいる者がほとんどである。

 酒は感情のタガを緩め、良くも悪くも気持ちを大きくさせる。
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