英雄の天意~枝葉末節の理~

*鮮烈なる


エスティエルは沈黙を続けているナシェリオを見やり、すいと立ち上がる。

「そのあとも続いたのでしょう?」

 問いかけに彼女を軽く睨みつけ、宙に視線を投げた。

「人に押しつけて旅立つのだから楽なものだ」

 吐き捨てるように言い放つ。

 人間の器にどれほどのエネルギーが注がれているのか、エスティエルはややゾクリとした。

「エルフも人も、この世の流れの中で自然に生まれた存在……。それは必然であり偶然」

 故に、あなたがその器を有したこともまた、偶然であり必然なのでしょう。

「偶然に手にした器はドラゴンには必然なものと成された」

「そんなことはどうでもいい」

 偶然だろうと必然だろうと自分にとっては関係のないことだ、望んでもいないものを押しつけられたに他ならない。

 こんな力に何の意味がある。
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