英雄の天意~枝葉末節の理~
「小さな異変は徐々に強さを増し、父はそれを辿りました」

 マナは地中に大きな流れを作っている。

 当然のごとく大気にも充満しており、その流れは天候や環境によって反映されている。

 よって、大気にあるマナの流れは常に変化を繰り返しているはずであるのに一定の流れを取り始めた。

「それは遙か北の大地、土すらも凍りつく大陸に異様とも思えるマナの流れを感じたのです」

「凍える大地ヒュプニクス」

 ぼそりと応えた名にエスティエルは小さく頷く。

 多くの種族や生物は大半の地でその環境に適した生活を営んでいる。

 されど、北にある大陸だけはあらゆるものを寄せ付ける事のない冷たき世界だ。

「大陸を取り巻く海は激しい潮の流れに守られ、どんな船も渡りきることは敵わない」

 父はもちろん、その地に足を踏み入れることは出来ません。

 しかし、ヒュプニクスに最も近い大地からならば、ある程度は調べられます。
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