英雄の天意~枝葉末節の理~
「エルフはマナの流れに敏感です。特に父はその能力に長けていました」

 父の調べによると、大陸の中心にマナが集まっているようなのです。

 ヒュプニクスにはマナがほとんど流れ込んでいない。

 そのためなのか大地に精気はなく、寒々とした風景が続いていた。

「本来、あるはずのないマナを大陸に感じ、マナが大陸に向かって集まっていました」

 ナシェリオは眉を寄せる。

 それは自然の流れではなく、何かの意思により集められているらしいとのことだった。

「わたしはその中心に何があるのか調べました」

 魂の一部を体から抜き出し、大陸に向けて飛びました。

 ヒュプニクスの頭上は常に気流が荒れ狂い、分厚い雲が重く敷き詰められ稲妻が轟いています。

「そこでわたしが目にしたものは、とても、とても黒い意思──」

 その姿までははっきり窺い知ることは敵わなかったけれど、怒りや憎しみに満ちた存在でした。

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