英雄の天意~枝葉末節の理~
いつ突然の強風で落下するか解らない。
下が地面なら例え落ちたとしても目的は達成されると、死ぬ事のない己を自嘲するように口角を吊り上げた。
しばらく気流のなかを突き進んでいると突然、眼前に白い大地が姿を現した。
集中して忘れていた肌に冷たい空気が触れる。
あれほど激しかった気流はナシェリオの上空にあり、嘘のように静かな景色が広がっていた。
初めて見る大地に関心をしながらもふと、突き刺さるように高くそびえる黒い塔に眉を寄せる。
黒曜石ででも出来ているのだろうか、厚い雲の隙間から差し込む陽射しを照り返している。
それは禍々しく大地から突き出し、まるで世界に穿(うが)たれた杭のようにも見えた。
ナシェリオは塔から少し離れた場所でワイバーンから降り、塔を見上げて歩みを進める。
魔力(マナ)は確かに、この塔に集まっているようだ。
ここまで近づけばよく解る。
塔そのものからは、ずしりと重たい威圧的な何かが放たれているようにも感じられ、中には何が待ちかまえているのだろうかと重厚な二枚扉を前に強く踏みしめた。
下が地面なら例え落ちたとしても目的は達成されると、死ぬ事のない己を自嘲するように口角を吊り上げた。
しばらく気流のなかを突き進んでいると突然、眼前に白い大地が姿を現した。
集中して忘れていた肌に冷たい空気が触れる。
あれほど激しかった気流はナシェリオの上空にあり、嘘のように静かな景色が広がっていた。
初めて見る大地に関心をしながらもふと、突き刺さるように高くそびえる黒い塔に眉を寄せる。
黒曜石ででも出来ているのだろうか、厚い雲の隙間から差し込む陽射しを照り返している。
それは禍々しく大地から突き出し、まるで世界に穿(うが)たれた杭のようにも見えた。
ナシェリオは塔から少し離れた場所でワイバーンから降り、塔を見上げて歩みを進める。
魔力(マナ)は確かに、この塔に集まっているようだ。
ここまで近づけばよく解る。
塔そのものからは、ずしりと重たい威圧的な何かが放たれているようにも感じられ、中には何が待ちかまえているのだろうかと重厚な二枚扉を前に強く踏みしめた。