英雄の天意~枝葉末節の理~
腕を伸ばすと扉は驚くほど軽く開き、唸るようなきしみを上げる。
中はがらんどうで、天井は頂上まで伸びているのか暗く果てが見えない。
見渡すと奥に玉座らしきものが見えた。
塔と同じ素材で造られているのか、漆黒の玉座はこの広い空間にも充分な存在感を与えていた。
否、その存在感を与えているのは玉座だけではない。
そこに座している者のそれが、さらに異様な霊気(オーラ)を充満させていた。
「遅かったじゃないか」
近づくナシェリオに少しも臆することもなく、低い男の声はやや嬉しそうに発した。
「──ラーファン」
余裕の笑みを浮かべる男を、ナシェリオは我が目を疑うようにじっと見つめた。
中はがらんどうで、天井は頂上まで伸びているのか暗く果てが見えない。
見渡すと奥に玉座らしきものが見えた。
塔と同じ素材で造られているのか、漆黒の玉座はこの広い空間にも充分な存在感を与えていた。
否、その存在感を与えているのは玉座だけではない。
そこに座している者のそれが、さらに異様な霊気(オーラ)を充満させていた。
「遅かったじゃないか」
近づくナシェリオに少しも臆することもなく、低い男の声はやや嬉しそうに発した。
「──ラーファン」
余裕の笑みを浮かべる男を、ナシェリオは我が目を疑うようにじっと見つめた。