英雄の天意~枝葉末節の理~
 どうして俺だけがこんな所で惨めにしていなくてはならないんだ。

 どうしてあいつはあんなにも輝いている。どいつもこいつも憎い。

「しかし見ろ。俺の願いは叶えられ、その力を手に入れた。ひれ伏し、赦しを請う人間どもの血を浴びて俺は高らかに笑ってやるのだ」

 狂ったような笑みを見せる友の姿にナシェリオはごくりと生唾を呑み込む。

 鬱屈した感情がようやく解放された事によるものなのか、これが本来のラーファンなのかナシェリオには計りかねた。

「本気なのか!?」

 君は、本気でそんなことを──!?

「だったらどうした」

 ラーファンは、一歩も退くことなく剣の力も緩まないナシェリオに相変わらずな奴だと口の中で舌打ちする。
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