英雄の天意~枝葉末節の理~
 金色の瞳を輝かせるナシェリオに歓喜し再度、手を差し伸べる。

 しかし今度は躊躇う様子を微塵も見せず、ラーファンをしっかりと見据えた。

「そんなことをするくらいならば、私は初めから誰かの願いを聞いたりはしない」

「なんだと?」

「己の罪を償おうとはしない」

「そんな成りでまだ俺に従わないというのか。お前はもはや、人から迫害される身なんだぞ」

 お前の本当の姿はもう人じゃない、ドラゴンだ。

 それがどういうことか解るだろう。

 お前は倒すべき対象となったんだぞ!

「それが私の罰というのなら」

 私は傷つき続けることを選ぶ。

 どちらの姿が本当かなど、君が決めることじゃない。
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