英雄の天意~枝葉末節の理~
「あくまでも自分は人だというつもりか」

 人間などになんの価値がある。

 くだらない生き物じゃないか。

「この世界は生きることを赦してくれている。それだけは揺るぎのない、この世の理(ことわり)だ」

 全ての存在は生きることを赦されている。

 しかれど、そのなかで生きるものたちはその理のもとに各々の生きる場所を得ようと闘いを続けてゆく。

 必要だとか価値だとか、そんなものじゃない。

 それを決めるのはこの世界に住む我々なのだ。

 我々はこの世界で生きるものの一つに過ぎない。

 だからこそ──

「君は、何かを赦したことがあるのか!」

 その許容を広げたことはあるのか。

 君の優しさは、この世界を何一つ受け入れはしなかったじゃないか。
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