英雄の天意~枝葉末節の理~
*枝葉末節
これ以上、過ちを見過ごす訳にはいかない。
知らないと言い続けることは出来ない。
ナシェリオは剣を握る手に力を込め、徐々に押さえ込んでゆく。
ラーファンは力の限りにそれから耐えつつ、ナシェリオの持つ剣を凝視した。
剣はまるでナシェリオの力に応えるようにほのかな青白い光を放ち、さらなる圧をかけてくる。
「この──っ剣は」
ラーファンはようやく理解した。
これはエルフがドラゴンの炎で鍛えたものだ。
どのような理由でこの剣が造られたのかは解らないが、ドラゴンの力を持つナシェリオになんとぴたりと呼応しているのか。
それ故に強いつながりが生まれ、互いに引きつけ合っていたのだ。
ラーファンはこれが運命というものなのかと、ナシェリオの巡り合わせに忌々しく歯ぎしりした。