英雄の天意~枝葉末節の理~
「私がもし、死ぬときが来たならば……。そのときまだ、君の罰が果たされていなければ」

 君の傍にいよう、君の罰を私も共に受けよう。

「最後まで、お前は憎たらしいやつだ」

 認めたくはないが、勝ったお前が正しいのだろう。

 それでも俺は、やはりこの世界が憎い。

 お前と旅がしたかった、そんな世界を夢見ていた。

「地獄で待っている」

 つぶやいたラーファンに剣が触れると瞬く間に小さな光となって散らばり、なんともあっけないほどにかき消えた。

 ナシェリオは、惜しむかのごとくゆっくりと消えゆく光たちを追うように視線を泳がせ、全ては終わったのだと深く息を吐き出し緊張を緩める。

「ああ、待っていてくれ」

 青い瞳を瞼に隠し天を仰いでただじっと立ちつくした。




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