英雄の天意~枝葉末節の理~
 魔法はその強さと難易度に応じて集中力と詠唱時間が異なる。

 難易度が高ければ高いほど、精神力や魔力(マナ)を多く消費し詠唱の時間が長くなる。

 ナシェリオは彼の言葉に苦い表情を浮かべた。

 つたなかった魔法は今や、この世のほぼ全ての魔法を繰り出せるまでになっている。

 しかし、ナシェリオはなるべくなら魔法は使いたくはなかった。

「それを使わせてくれる相手ならな」

 弱い魔法であれば詠唱時間はほぼ無いに等しい。

 動きながらでも放てるだろう。

 だが、ガネカルはそれが通用する獣ではない。

 仲間なりいるのなら詠唱時間を稼いでくれるかもしれないが、一人で旅をしているナシェリオには望み薄だ。

「どうやって村から出た」

 それが解ればガネカルを倒さずとも少しの助けで救われるはず。
< 38 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop