英雄の天意~枝葉末節の理~
 腕力に自信のあるラーファンはナシェリオの力仕事を助け、細かな作業が苦手なラーファンにはナシェリオが手伝っていた。

 ナシェリオは細身で中性的な容姿から村の中でも少々、浮いたところがあった。

 早くに両親を亡くした彼は手先が器用でなければ、体を売る以外に生きていける術はなかったかもしれない。

 それでも言い寄る者は少なくはなく、それを上手くいなせない時はラーファンが助けてくれていた。

 仲の良い二人に良からぬ想像をする者もいたが、彼らの間に友情以外の感情はなく。

 時折ラーファンがそれに憤っていた。

「まったく、おもしろ半分に色々と噂しやがって」

「仕方ないよ、私が弱すぎるから」

「なに言ってんだ、お前が弱い訳ないだろ。剣術なら俺と対等くらいには強いじゃないか」

 ナシェリオはそれに苦笑いを返す。
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