英雄の天意~枝葉末節の理~
「友は若き頃には腕の立つ狩人でした」

 足腰の弱いお前が出ても犬死にだ。

 俺が奴を引き付けておいてやるから、その間に弱った足を力の限り動かせ──!

「ふ、ふ……。手入れすらしていなかった狩りの道具など持ち出したりして」

 馬鹿な奴だと口元を吊り上げ歯を食いしばる。

「ようやく覚えた魔法は、ほんの短い間にしか効果を示さず。それがわたしの限界だったのです。なんと情けないことか!」

 詰まる声を振り絞り、悔しさに強く瞼を閉じる。

 魔法は人が持つ資質と、内包する魔力(マナ)の強さによって差が生まれる。

 資質のみを有する者は補助となるマナを蓄えたアミュレットなどを常に持ち歩いている。

 すなわち、資質が無ければいくらマナを内包していようとも魔法を駆使する事は適わない。
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