英雄の天意~枝葉末節の理~
「全ての馬の長である馬の王ともご友人とは恐れ入ります」

 神格化された馬の王の魂は代々、馬の王家の血筋に宿るとされている。

 馬の王は英雄と出会う度に姿を変えながらも、胸に響く声はそのままに馴染みの相手のごとくナシェリオに頭を下げ丁寧に挨拶を交わす。

 器となる王族の馬は皆素晴らしく、彼らは喉を震わせて英雄を讃えた。

「出会ったのは偶然だ」

 遠く記憶に埋もれそうなほどの昔、初めて出会った馬の王は彼に絶えることのない贈り物を約束した。

 秀でた仲間を止めどなく贈り続けると──馬の王の真意を計ることは出来ないが、その約束は今も破られておらず感謝と賞賛に値する。

 そうしてナシェリオは手綱を引き、ニサファと村に向かう。
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