英雄の天意~枝葉末節の理~
 端金(はしたがね)で動いたとは思えない。

 今は村まで同行してくれてはいるけれど、やはり止めたと言い出されてもおかしくはない。

 ならば、この英雄の意気をさらに奮い立たせるにはどうすれば良いのだろうか。

「ナシェリオ様、もしお望みであれば村一番の気だての良い娘を──」

「村人を救いたいのだろう」

 これ以上の犠牲は必要あるのか。

 ささやくように発した言葉にニサファは強く瞼を閉じ、

「ありがとうございます」と詰まる喉を震わせた。




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