英雄の天意~枝葉末節の理~
*優しい世界
東にある首都に憧れを抱く若者は少なくはない。
それでも、その道のりを思えば憧れだけに留めるものだ。
その類に漏れず、ラーファンも首都に華やかな想像を抱いていた。
人間が増えたとはいえ、まだまだ危険なモンスターがそこかしこに彷徨(うろつ)いている。
そんな大地を旅する者を放浪者(アウトロー)と呼ぶ。
時には単独で、時には仲間とパーティを組んでと、腕に自信のある者だけがそう呼ばれた。
そうでなければ世界を歩き回るなど不可能だからだ。
商人たちは常に旅団を組み、アウトローたちを雇って移動している。
ラーファンはそんな生き方に憧れていた。
しかし、彼の両親がそれを許さない。
村で嫁を見つけて静かに暮らす事をいつも望んでいたが、ラーファンにはそれが不満だった。
首都に上って騎士となり名を上げるか、有名なアウトローになる事を夢見てナシェリオに常々語っていた。