英雄の天意~枝葉末節の理~
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「昨日はごめん」
言い争いをした日の翌朝、ナシェリオはいつものように家を訪れたラーファンに謝罪した。
「ああ、そんなの気にするなよ。お前と俺の仲だろ」
ナシェリオに明るく返し、村の畑で今朝採れた野菜をダイニングテーブルに並べる。
「そうだね。ありがとう」
口ではそう応えたが、ラーファンの言葉と面持ちにナシェリオはどこか納得しきれなかった。
彼はまるで、夢見事のように明るく笑みを浮かべている。
自分の放った言葉に対して気にするなと言われたならば安堵もしよう。
しかし、彼はその内容にまでをも無かったこととしている。