英雄の天意~枝葉末節の理~
 ナシェリオの両親は大陸の北を住処とする民族の出身で闘いや狩りに長け、多くの渡り戦士や名のある騎士を生み出している。

 彼の両親も共に放浪者(アウトロー)であり、子を成すために旅の途中にあった西の地に定住を決めたという。

 ナシェリオがこの村で少し浮いていたのは両親が遠い地の者だったという理由に他ならない。

 ラーファンはその血を受け継ぐナシェリオに期待していたのかもしれないが、なまじ闘えた事によって死んだ両親を思えば、その期待はナシェリオには酷な事でしかない。

 小さな集落というものが閉鎖的であるのは珍しいものではなく。

 村は遠方からの新しい仲間に敬遠し、二人はなかなか馴染む事が出来なかった。

 それでも、子の事を思えば出来る限りを尽くしていたのだろう。

 故郷に帰るにその旅路を思えばナシェリオはまだ幼すぎた。
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