英雄の天意~枝葉末節の理~
 そんな動きでも体力を使うのか、ナシェリオの額にはじわりと汗が滲(にじ)んでいた。

 ふいに手を叩く音がして動きを止める。

 振り向くとネルオルセユルが堂々とした拍手を送りながら歩いてきた。

「まさかこんな辺境の地で見事な剣舞が見られるとは」

「何かご用ですか」

 親しみを込めた笑みに眉を寄せて返す。

「腕のいい細工師はいないかと訊いたらあんたを紹介された」

 ナシェリオを手で示した。

「それで?」

「パイプが欲しい。ここに来る途中で壊れてしまった」

 肩をすくめる渡り戦士に軽い睨みを利かせ、荒い息を整えると剣を立てかけて家の中に促した。






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