英雄の天意~枝葉末節の理~
「ラーファンが、貴方は英雄だと」

「俺が?」

 そんな訳がないと肩をすくめる。

「戦争屋には荷が重い」

 現在では大きな戦(いくさ)は無いものの、民族や種族間の小競り合いは今でも続いている。

 戦いでは数に勝るものはない。

 勝利のために兵士は欠かせない戦力だ。

 その中でも、渡り戦士は多くの知識を持つ故に重宝されている。

 ただ戦う事に特化した傭兵は必要不可欠な戦力ながら、天候など周囲の状況察知や薬草に対する知識には到底、敵いはしない。

 かといって、渡り戦士を多くすればそれはそれで戦力が増す訳でもない。

 その割合を計るのは難しい。

「ドラゴンを倒したことは?」

「あん? 大きく出たね」

 ネルオルセユルが皮肉を含ませるほど渡り戦士は戦ばかりにかり出される訳ではなく、要人や旅団の護衛のほか獣退治といったことにも雇われる。
< 84 / 239 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop