英雄の天意~枝葉末節の理~
 その液体に触れれば金属さえも腐り、肉はたちまちに溶けてしまう。

 一旦、偵察に入ったネルオルセユルがブラックドラゴンだと告げると、道楽息子はさらに嫌がり一同は呆れて互いに見合った。

 確かに、あまり闘いたくはない相手ではある。

「アルケミストがいたことは幸運だった」

 ネルオルセユルがドラゴンをおびき出している間に酸を中和する薬を調合し、ソーサラーが攻撃から身を守るシールドの魔法を全員にまとわせる。

 ドラゴンは本来、夜行性で昼間は暗い場所で眠りについている。

 ならばと、怒らせて外におびき出す作戦をとった。

 大陽がまだ高い間ならドラゴンも力を発揮出来ないだろうという思惑もあり、計画は実行された。




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