英雄の天意~枝葉末節の理~
*彼の者は剣突き立て
ブラックドラゴンは入り組んだ洞窟の奥でとぐろを巻き、静かな寝息を立てていた。
その周囲には旅人から奪ったのか、いくつかの装飾品が散らばっている。
倒したあとで拾えば幾らかにはなるだろう。
相手はドラゴンなのだからと多少の期待はしていたものの、想像していた光景とは大きく違っていたことに口惜しさは拭えない。
よしんばうずたかく積まれた財宝があったならば、ネルオルセユルはすぐさま諦めろと提案しただろう。
例外を除けば財宝の数はドラゴンの強さを表している。
それだけに散らばる宝の数に彼は安心もした。
さりとてドラゴンはドラゴンだ。