英雄の天意~枝葉末節の理~
 その後どうなったかはネルオルセユルの知るところではない。

 竜退治のお供をした報酬と実績さえ得られれば満足である。

「いつまで村に?」

 尊敬に値するからこそ、ナシェリオはネルオルセユルがここにいる事を苦く感じていた。

「そうだな。旅の準備もあるんでまだ数日は居るつもりだ」

 それを聞いたナシェリオの表情がにわかに曇ったのを男は見逃さない。

「お前の友達が英雄に憧れてでもいるのか?」

「ラーファンは外の世界を知らない」

 憧れだけで生きていけるほど世界は甘くはない。

 いくら言い聞かせても、その耳に届きはしない。

 ネルオルセユルに触発されて無謀な事をしでかさないとも限らない。

 彼の憧れに足るだけの人物なら尚のことだ。
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