歩んだ先の未来




「え、何してんの?」


トイレから出てきた姉に
不思議そうな顔で見られた。

「あ、お姉ちゃん。なんでもない。」

私は靴を脱いで急いで部屋へと行った。



恥ずかしすぎる。
明日以降どんな顔で会えばいいのだろうか。

大きなくまのぬいぐるみを抱きしめて
制服も脱がずにベッドに座った。


本当にどうしよう。

いや、でも向こうは気にしてないかも
うん。気にしてないよね。

向こうから頼んできたことだし
開き直って普通に接しよう。


しばらくすると

「藍実ご飯。」

という姉の声が聞こえた。

「今行く。」


慌てて制服を脱いで部屋着に着替え
リビングへ向かった。



ご飯を食べてると母がいきなり

「藍ちゃんなんかあったの?」

「なんかって?」

「さっきお姉ちゃんが藍変だったって言ってたから。」

「いや、別になにもないよ。」

飲んだお茶を吹き出しそうになるほど
動揺したけど、なんとか普通に返事が出来た。


ご飯を食べ始めると

「好きな人でもできたんでしょ。」

「ごふっ。」

危うくご飯が気管に入るかと思った。

「そうなの藍ちゃん!」

キラキラと嬉しそうな顔で聞いてきた
母と姉の一言に動揺が隠せない。


「い、いや。なわけ無いでしょ。」


私は急いでご飯を食べて
ごちそうさま。と
言ってから部屋へと戻った。


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