歩んだ先の未来




気合を入れて玄関を出る。

晴天の下、私はいつもの違う道を
歩いているかのような
感覚に陥るほど緊張しながら歩いていた。


けれど
森谷くんに会うことはなく

少しホッとした気持ちで
騒がしい教室の中へと入っていった。


「藍実おはよう。」

「おはよう癒音。」

「藍実さ、昨日森谷くんと一緒に帰ったって聞いたけどいつの間にそんなに仲良くなったの!」


ニヤニヤとしながら聞いてきた。



私はこの時


〝癒音も好きだっんだ。〟


と思った。


罪悪感がこみ上げるなか

「たまたまだよ。帰る方向も一緒だったみたいだから。」


「ふーん。」


たまたま。という表現は間違っていないのに
嘘をついた気分だ。


それはきっと、
〝私も好きだ。〟

と言う事を吐けていないからだ。


あまり、森谷くんに関わらないようにしよう。


「それよりさ、今日からクラスステージの練習あるよね。」

私には重過ぎた空気を振り払うため
話題を変えた。

「そうだったー。踊りだよね。」


「癒音、踊りとか得意そう。」

「それなりには出来ると思う。」


そんなことを話していると担任が
教室に入ってきてSHRが始まった。

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