歩んだ先の未来




放課後

「じゃあやろっか。」

笑顔で行ってくる山中君。


「よろしくお願いします。」

私達3人そう言い練習が始まった。




とりあえず一通り教えてもらったけど
出来る気がしない。

私達はそれぞれでイヤホンをつけて
練習し、わからないところは聞く
というスタイルに決定した。


決定したけどれども…。

なにも覚えられてない。
全くわからない。


岩崎さんと、斉藤さんはもう
練習している。

「瀬名さん、どうかした?わかんなかった?」

優しく聞いてくれた山中君

「えーっと。すぐ覚えるのが苦手で、ダンスも苦手で、その、全くわからないです。ごめんなさい。」


「ははっ、わかんなかったら聞いてって言ったから聞いてくれれば良かったのに。」

「最初から、ゆっくり一緒にやってみようか」

なんて、優しいんだろうか。
これ以上迷惑かけないためにも
しっかり覚えなくては。







「ここの間奏終ったら、こうして、こう。」

「そうそう。出来てる。」


モチベーションを少しづつ上げられる
子どものように丁寧に説明しながら
教えてくれていた。



だが、気づくと岩崎さんと、斉藤さんが
もういない。


「あの、岩崎さんと、斉藤さんは…?」

「帰ったよー。用事があるみたいで家で練習するって言ってたな。」


帰ったのもわからないくらいに
集中していたのか。

「瀬名さんもうちょいやったらキリいいからあと少し頑張ろう。」

「はい、お願いします。」



「えっと、こうですか?」

「違う、手が逆。」

「ん?こうですか?」

「違う、こう。」


私の後ろに周り抱きしめてるような形で


「わかった?」

と笑顔で聞いてきた。


「あ、は、はい。」

びっくりして、心臓の高鳴りが止まない。

「じゃあ今日は、これで終わりね。お疲れ様でした。」

「お疲れ様でした。ありがとうございました。」




今日の地獄と思われた練習は
終了した。
山中君は無意識なのだろうか
それにしても緊張した。

帰ったらとりあえず寝ようと
思いながら私は教室を出て家へと向かった。








あの光景を
あの人が 見ているとも知らずに…。



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