歩んだ先の未来
学校祭のちょうど2週間前のこと。
私はダンスの振り付けもようやく
ましになってきて
周りでは学祭の雰囲気でバタバタの毎日。
最近森谷くんに会ってないななんて
不意に考えながら歩いていると
森谷くんの声が聞こえた気がして振り向いた。
「なあー、お前好きな奴いないのかよ。」
森谷くんのお友達だろうか
「いるよ。」
さらっと答えたその言葉に
私は咄嗟に身を隠してしまった。
ちょうど隠れられるロッカー
あまり人の通らない廊下
立ち止まった森谷くん
私は良い場所にいすぎた。
こんなに条件が揃っていなかったら
聞かなくても済んだかもしれないのに。
「誰だよ!!!」
食い気味で聞くお友達らしき人。
「隣のクラス。名前は教えないけど。取られたら困るし。」
「お前みたいなかっこいいやつの好きな人を奪おうなんて1ミリも思わねーわ。つか、何がそんなにお前の気を惹いたわけ。めずらしくないか、昔から好きだなんて言ったことなくないか?」
〝昔から〟
この言葉で幼馴染みか小中一緒だったのかな
とか頭では冷静なことを考えていた。
「不思議なとことか仕草が可愛かったりちょっと不器用だなって思わせる言動とか?」
「お、おうそうか。」
「なんだよ、聞いといて。」
森谷くんの優しい笑い声が
静かな廊下に響く。
私は静かにその場を去った。