歩んだ先の未来
入学式から数日たって
漸く学校生活が落ち着いてきた頃。
私は、隣のクラスの入り口の前にいる。
癒音が好きな男の子はこのクラスにいるようだ。
癒音がある女の子を入り口の前で呼んでいる。
「七穂(なほ)ー。」
近づいてきたのは
髪の毛がストレートのロングで
前髪はキレイなぱっつん。
まるでお人形のような女の子だった。
「七穂ー。この子が藍実。で、藍実。この子が同中の七穂。」
私は笑顔で
「よろしくね。」
七穂という女の子も笑顔で
「こちらこそよろしくね。癒音うるさいでしょ。暴走した時は放置しちゃっていいからね。」
意外とさっぱりした性格なようだ。
そして、七穂は1人の男の子を
軽く指差し
「森谷優輝(もりや ゆうき)。明るいしいつも周りに人が群がってる感じ。今の所、部活も入る予定ないし、彼女もいないみたいだよ。」
癒音はすごく嬉しそうに
「七穂、ありがとう。」
と言ってぎゅっと抱きしめていた。
どうしたらそんな情報を手に入れられるのかと
疑問に思ってしまった。
この時、二人の間から
見えた森谷くんという男の子と
目があった気がした。
何か懐かしいものを感じるのは気のせい…?
それと同時に私の
心が少し揺れた気がした。
私は咄嗟にいけないと思い
その感情を自分の中へと自分から押し込んだ。
なにも気づかなかったかのように。