歩んだ先の未来
「なあ、俺の彼女になにしてんのって聞いてんだけど。」
「は、お前の女か。こんなちんちくりん返してやるよ。」
腕を掴まれそのまま勢い良く
森谷くんの方へ突き飛ばされた。
「わぁっ。」
森谷くんの胸の中へと収まった私。
かと思ったら今度は森谷くんに
腕を掴まれ歩き出した。
気づいた時には
外にあるあの木のところに来ていた。
「藍実バカなの、優しすぎるから。」
「え、あの、ごめんなさい。道を聞かれたから、あの…。」
「明らかにおかしかったから。なんで1人で案内したの。ほんと、心配したんだから。」
はぁー。と大きなため息とともに
しゃがみこんだ森谷くん。
「でも、なんで、私があそこにいるのわかったんですか?」
「いや、それは、藍実に会いに来たら変な男とどっか行くからついて行った。」
頭をくしゃくしゃとしながらこっちを見る。
「助けてくれて、ありがとうございます。でも、私が彼女なんて嘘は誤解を招くのでやめてください。」
「は、なんで?」
一気に不機嫌になったのがわかる。
「いや、森谷くんを好きな人はたくさんいますし、誤解を招くようなこうっ」
いきなり抱きしめられた。
「藍実ほんとバカだよ。誤解されたっていいじゃん。俺、藍実のこと好きだし。結構好き好きアピールしてたつもりなんだけどな。」
そう言って寂しそうな乾いた笑顔で
ははっと笑う。