歩んだ先の未来
ある日の体育の授業で
「癒音、七穂。先に行ってて。私ちょっと具合悪いから保健室行ってくる。」
ちょっと心配そうな顔をして
“大丈夫”とか“保健室まで一緒に行こうか”
と言われたけど丁寧に
断って体育館の方に行ってもらった。
ちょっと気分悪くなったのもあったけど
今日の体育は隣のクラスと合同
だったから少し嫌だったというのもある。
人が多いのはあまり好きではない。
それに、私がいなくても体育の先生は
結構雑で出欠とらないから
バレたりしないし。
でも少ししたら戻ろうと思って、職員室からも
体育館からも見えないと思われる場所にある
木陰に入って木に寄っ掛かり座った。
少し目を瞑ると風の音が心地よくて
幾分気分が良くなった。
そんな時だった。
後ろの方から足音が聞こえてきて
先生に見つかるかも
と思った次の瞬間には
同じ1年生のジャージを着た
男の子が現れた。
「あっ、先客がいたのか。」
そう行って優しく笑っていたのは
「森谷くん…?」
私はびっくりして思わず
名前を呼んでしまった。
「俺の名前知ってたんだ。瀬名ちゃん。」
そう言って笑う森谷くんに
閉じ込めた感情が戻ってきそうで恐かった。