歩んだ先の未来



私は足早に木のところへ向かった。


「遅くなってごめんなさい。」

「いや、大丈夫だから。」


そう言って笑った森谷くんの顔を
見たあと手にはまだ食べ始めてもいない
チャーハンがあって…。

「あ、まだ、食べていなかったんですね。私もチャーハン食べたくなって買ってしまいました。」

そう言ってチャーハンを見せる。

ちゃんと笑えているかもわからないが
笑顔で言ったつもりだった。

「座ったら?話もあるみたいだし。」

少し悲しそうに笑ったような笑顔。
そんな風に見えた。

私は森谷くんの隣に腰をおろした。



袋からチャーハンを出す音
チャーハンの蓋を開ける音
スプーンを取り出す音

そんな機械的な音が大きく感じ
無言で食べ出す私達。

切り出すタイミングが掴めない私に
痺れを切らしたのか


「話って?」

「告白のことなんですが…。」

「いや、返事とかいいよ。

ほんと、」


「でも、」

「ここで返事聞いちゃったらさ。
もう藍実と話せなくなるかもしれないし。」

「ごめんなさい。でもやはり、森谷くんの
気持ちに応えることはできないです。」


そう言った瞬間私は
空を仰ぎ見る形になった。

横にいた森谷くんに押し倒された。
草の上で痛みはなかったが
胸の痛みは今までで最高かもしれない。



「ねぇ、本気で言ってんの?今だってなんで
なんでそんな悲しくいうの?
いつも顔赤くしてなんでそんな嘘言うの?
俺のただの自惚れ?あーかっこわり。」

「いや、えっと、その。


ごめんなさい。」

それを言うだけで精一杯だった。

突然降り注ぐキス

「悪い」

と言って降り注いだキス。
すぐに立ち去ってしまった森谷くんを
追いかける気力なんてなくて

ただただ
空を仰ぎ見て


キスが嫌じゃなかった自分に
嫌気がさした。



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