続 音の生まれる場所(下)
「私は…一途なんかじゃありません…坂本さんの帰りも信じられなくなって、他の人と付き合ったり、柳さんと関係持ったりする様な
人間です…」
後悔を口にする。そんな私のことを彼が引き寄せる。驚いて一瞬、声が出なくなったーーー。
「…何度も言わないでいいから…そんなこと…」
怒ってるような声がする。やっぱり彼は気にしてる…?
「……ごめんなさい…」
ドクドク…と胸が鳴る。彼に嫌われたかもしれないと思うと、胸が張り裂けそうだ…。
「謝らないで…謝る必要なんかない…」
声が優しくなる。腕を解き放して、彼が私の目を見た。
「…僕の帰りを待ってたのは…ホントだろ?…」
「……はい…ホントです…」
三年間、どんなに彼のことを忘れようとしても、思い出すまいとしてもできなかった…。
生活の全てが彼と出会った後のことに全部繋がっていくようにした。
だから柳さんとも今まで通り接してきたし、カズ君とも別れた……。
坂本さんをずっと待ち続けたいと思ったからーーー。
「…ならもう…それで十分……」
優しく抱き寄せられる。彼のことを知りたくて心苦しい話をした私のことを、許してくれてるみたいだった…。
「……坂本さん…」
三年分の思いが込み上げる。ぎゅっと握りしめる彼のことを、誰よりも手放したくないと思った…。
「…どこにも行かないで…」
もう二度と好きな人を失いたくない…。
あんな悲しい思いをするのは、二度とイヤ……。
「行かないよ…どこにも…」
優しい声が届く。涙が溢れ出しそうになる…。このままずっと…こうしていたい……。
「あの…真由子…」
坂本さんが私の肩を叩く。少し力を緩めると、スッと体を放された。
「嬉しいんだけど…ここバーの中だから……」
薄暗くはあるけど、私達が座ってるのはカウンター席。
「目立つから…後にしよ…」
顔赤い。さっきからバーテンダーに呆れられてたそうだ。
「す、すみません…」
急いでカクテル飲み干す。それから慌てて店を出た。
「…あー焦った…あのまま放れてくれなかったらどうしようかと思った…」
笑ってる。その横で私はずっと俯いてた。
「ごめんなさい…私…つい……」
朔の死が急過ぎて、今でも胸に痛みが残る。あんなふうに誰かを見送るなんて、もう二度としたくない…。
「…真由子は…今でも亡くなったカレシのことが忘れられないんだね…」
坂本さんの言葉に即答できない。心の中に住む朔は、私にとって特別な人だから…。
「今でも好き?」
顔を覗き込まれる。ウソをつくのがイヤで、正直に話した。
「好き嫌いで言うなら…今も好きです……多分、一生忘れられないと思います…」
親を思う気持ちと同じ。朔はそれくらい大事な人…。
人間です…」
後悔を口にする。そんな私のことを彼が引き寄せる。驚いて一瞬、声が出なくなったーーー。
「…何度も言わないでいいから…そんなこと…」
怒ってるような声がする。やっぱり彼は気にしてる…?
「……ごめんなさい…」
ドクドク…と胸が鳴る。彼に嫌われたかもしれないと思うと、胸が張り裂けそうだ…。
「謝らないで…謝る必要なんかない…」
声が優しくなる。腕を解き放して、彼が私の目を見た。
「…僕の帰りを待ってたのは…ホントだろ?…」
「……はい…ホントです…」
三年間、どんなに彼のことを忘れようとしても、思い出すまいとしてもできなかった…。
生活の全てが彼と出会った後のことに全部繋がっていくようにした。
だから柳さんとも今まで通り接してきたし、カズ君とも別れた……。
坂本さんをずっと待ち続けたいと思ったからーーー。
「…ならもう…それで十分……」
優しく抱き寄せられる。彼のことを知りたくて心苦しい話をした私のことを、許してくれてるみたいだった…。
「……坂本さん…」
三年分の思いが込み上げる。ぎゅっと握りしめる彼のことを、誰よりも手放したくないと思った…。
「…どこにも行かないで…」
もう二度と好きな人を失いたくない…。
あんな悲しい思いをするのは、二度とイヤ……。
「行かないよ…どこにも…」
優しい声が届く。涙が溢れ出しそうになる…。このままずっと…こうしていたい……。
「あの…真由子…」
坂本さんが私の肩を叩く。少し力を緩めると、スッと体を放された。
「嬉しいんだけど…ここバーの中だから……」
薄暗くはあるけど、私達が座ってるのはカウンター席。
「目立つから…後にしよ…」
顔赤い。さっきからバーテンダーに呆れられてたそうだ。
「す、すみません…」
急いでカクテル飲み干す。それから慌てて店を出た。
「…あー焦った…あのまま放れてくれなかったらどうしようかと思った…」
笑ってる。その横で私はずっと俯いてた。
「ごめんなさい…私…つい……」
朔の死が急過ぎて、今でも胸に痛みが残る。あんなふうに誰かを見送るなんて、もう二度としたくない…。
「…真由子は…今でも亡くなったカレシのことが忘れられないんだね…」
坂本さんの言葉に即答できない。心の中に住む朔は、私にとって特別な人だから…。
「今でも好き?」
顔を覗き込まれる。ウソをつくのがイヤで、正直に話した。
「好き嫌いで言うなら…今も好きです……多分、一生忘れられないと思います…」
親を思う気持ちと同じ。朔はそれくらい大事な人…。