センチメンタル・スウィングス
「・・・もーも。桃子っ!」
「は、はいっ!?」
「どーした。手、止まってるぞ」
「えっ?あ・・っと、ほんの数時間前に、節分行事を終わらせたばかりなのに、今ひな人形を飾っているのは、なんか・・・。バレンタインデーもまだなのに、と思って・・・」
「そーだな。季節の和洋イベントを、あれもこれもと先取りし過ぎで、季節感を取り入れるのも忙しい、ってか」
「はい・・」
「バレンタインはもう目前に迫っている。それが終われば、ピークの一つ目クリアだ。忙しさも半減する」
「桃子っ。おまえ・・きついのか?」
「ううん!全然」
「大丈夫か」
「大丈夫!」
「ホントか」
「ホントに大丈夫だから!」

あぁ、お兄ちゃんの過剰な心配ぶりは、いつでもどこでも勃発するから、毎日顔を合わせていたら、仕事どころじゃないと思う・・・。

私は密かにため息をつくと、キレイに拭いたお内裏様を、和泉さんに渡した。

< 16 / 150 >

この作品をシェア

pagetop