センチメンタル・スウィングス
「・・・人形たちはこれでよし、と。桃子、菱餅買っといて」
「それなら山下さんが、すでに手配済みだそうです」

私の声が聞こえたのか、山下さんは、自分の席から「明日持ってきまーす!」と元気よく言った。

「オーケー」
「所長!」
「なんだ」
「ついでにひなあられも買っていいですかー?」
「いいよ」
「あ!あと、おせんべいとー、草餅とー、イチゴ大福とー・・・」
「おいおい山下ー。そんな一度に買っても食えないだろ?」
「てかそれ、全部山下が食べたいものばっか」と飛永さんが言うと、山下さんは「ばれちゃった」と言って、エへッと笑った。

「とりあえず、ひなあられまでは予算で落とせる。残りはボチボチ考えよう。な?」
「・・・はぃ」

専務であるお兄ちゃんがいるからか、山下さんはあっさり引き下がった。
山下さんは「檀上専務」のファンだから、今は、おとなしく、控えめな女性だと兄にアピールしたいのかもしれない。

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