センチメンタル・スウィングス
「あ~。こんにちわぁ、和泉さんっ」
「よっ、あっちゃん」
「今日も喫煙席・・・」
「タバコの臭いと煙が妹に絶対及ばない禁煙席」
「か・・・かしこまりましたっ!」

・・・お兄ちゃん。
私、ちょっと・・・恥ずかしい。

なんて私が思ってることは、もちろん兄は気づいてない・・・いや。
気づいていても、「それがどうした」で終わるのが、檀上零士。

私の兄だ。

「零士。おまえは桃のことになると、めんどくせー存在だな」
「兄が妹の心配をして何が悪い。おい慎矢。たとえ仕事中でも、タバコ吸った後は、妹の半径1メートル以内に近づくな。これは専務命令だ」
「ちょ、ちょっとお兄ちゃんっ」
「では、こちらで・・・」
「タバコの煙は」
「臭いも含めて絶対来ません!」
「よし」
「桃はよくこんなシスコン兄ちゃんに耐えられるよなぁ」
「別に・・・兄は悪気があってしてるんじゃないし。昔はここまでじゃなかったんですけどね」

私は苦笑を浮かべながら、席にチョコンと座った。

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