センチメンタル・スウィングス
この後も仕事がある兄とは、ファミレスで別れた。
「桃子。少しでいいから、後で何か食べるんだぞ」
「うん。じゃあ。奢ってくれてありがとう」
「またな」
「うん」
思ったより、お兄ちゃんに小言を言われなくて良かった。
でも・・・事務所に戻るまでの徒歩2分、和泉所長(このひと)と二人だけっていうのは・・・過去、そういう状況は何度かあったけど、今回はなんか・・・気まずい。
あ、そうだ!
「和泉さん!」
「ん?」
「あの・・もう一つ。この賭けのことは、誰にも・・・特に事務所の人たちには、言わないでほしいんですけど。私も言わないから」
お兄ちゃんにも「黙っててよ」って言うの忘れてたけど・・・私が負けると思っているなら、誰にも言わないだろう。
「いいよ。どっちにしても、おまえが負けるし」
「違います。言った矢先に和泉所長が挫折するから、言わなくてもいいってことです」
「おまえがそう言うなら、そういうことにしとこーか」
と言う和泉さんの言葉に、いちいちムッとするのは大人気ないと、私は自分に言い聞かせた。
「桃子。少しでいいから、後で何か食べるんだぞ」
「うん。じゃあ。奢ってくれてありがとう」
「またな」
「うん」
思ったより、お兄ちゃんに小言を言われなくて良かった。
でも・・・事務所に戻るまでの徒歩2分、和泉所長(このひと)と二人だけっていうのは・・・過去、そういう状況は何度かあったけど、今回はなんか・・・気まずい。
あ、そうだ!
「和泉さん!」
「ん?」
「あの・・もう一つ。この賭けのことは、誰にも・・・特に事務所の人たちには、言わないでほしいんですけど。私も言わないから」
お兄ちゃんにも「黙っててよ」って言うの忘れてたけど・・・私が負けると思っているなら、誰にも言わないだろう。
「いいよ。どっちにしても、おまえが負けるし」
「違います。言った矢先に和泉所長が挫折するから、言わなくてもいいってことです」
「おまえがそう言うなら、そういうことにしとこーか」
と言う和泉さんの言葉に、いちいちムッとするのは大人気ないと、私は自分に言い聞かせた。